2017年4月28日
公立大学法人 福島県立医科大学
理事長兼学長 竹之下 誠一 様
311甲状腺がん家族の会
事務局長 武本 泰
℡:080-6718-1717
Eメール:311tcfg@gmail.com
小児甲状腺がんの過剰診断について(質問)
先日の日本内分泌学会のシンポジウムなどで、甲状腺検査を担当されている福島県立医科大学の大津留晶教授や緑川早苗準教授が「症状の出ないごく小さながんまで見つけてしまう」と過剰診断論を主張されたと伺っています。
311甲状腺がん家族の会では、2016年の9月5日付けで福島県小児科医会に対し過剰診断論の詳細についての質問状を、また2017年1月5日付けで福島県および福島県立医科大学に対して国際環境疫学会からの勧告や、福島の小児甲状腺がんの手術妥当性に関する質問状を送付いたしましたが、いずれも具体的な回答を頂いておりません。
それにもかかわらず、大津留教授等のように学会において過剰診断論を述べるというのでは、情報提供に関し患者側が蔑ろにされていると考えざるを得ません。そこで、311甲状腺がん家族の会として下記の質問を送付させていただきます。
ご多忙とは存じますが、医療法第一条の四の2(医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。)との理念からも、ご回答の程、お願い申し上げます。
(質問)
1.患者ががんの転移や再発を経験する中、「症状の出ないごく小さながんまで見つけてしまう」と述べる具体的な根拠を、福島のデータに基づいて教えて頂きたく存じます。
2.米国の小児甲状腺がんガイドラインでは、甲状腺がんが進行した場合に用いる放射性ヨード治療では二次発がんや死亡率の増加リスクがあるとされているそうですが、これら情報は転移が進行するまで患者側には伝えられませんでした。これでは患者側は治療方針を選択できません。なぜこのような体制になっているのか教えて頂きたく存じます。
3.現在、県民健康調査における甲状腺検査の受診率が低下しつつありますが、過剰診断論により受診率の低下や検査の遅れが生じ、がんが進行した場合、患者は上記2にあるようなリスクを負わされることになります。これについてどうお考えでしょうか、教えて頂きたく存じます。
これらは検査や治療を受ける患者や家族が意思決定するうえで重要な情報であり、現状ではインフォームドコンセント上の重大な問題があると考えております。小児甲状腺がん患者における適正な治療環境のため、ぜひご回答をよろしくお願いいたします。