2017年1月6日

 

福島県

 

知事 内堀 雅雄 様

 

福島県保健福祉部県民健康調査課長 小林弘幸 様

 

公立大学法人 福島県立医科大学

 

理事長兼学長 菊地 臣一 様

広報推進室長 田中成省 様

 

                      311甲状腺がん家族の会

 

                      ℡:080-6718-1717

 

                      Eメール:311tcfggmail.com

 

 

 

 

 

      県民健康調査検討委員会および甲状腺検査等について(質問)

 

 

 

 平素は、福島県民の被ばく実態の解明にご尽力賜わり、心より敬意を表します。

 

 

 

 私たち「311甲状腺がん家族の会」では、県民健康調査の甲状腺検査で小児甲状腺がんと判明した患者やその保護者が中心となり、これまでの経験を踏まえて、甲状腺検査のあり方や、小児甲状腺がんへの治療の実態そして患者を取り巻く社会的環境など、多方面にわたって話し合いを重ねて参りました。

 

 

 

 その上で、甲状腺検査、小児甲状腺がんへの治療そして患者の社会生活がより円滑に行えますよう、別紙の通り質問させていただきます。

 

 なお、本文書についてのお問い合わせは、当会事務局(武本、連絡先は上記の電話番号とメールアドレス)までお願いいたします。

 

 

 

 また、本文中、各質問番号に引き続いて( )内に記載の機関は、質問先機関を示しています。

 

 

 

 

<別紙>

 

 

 

□ 第1  県民健康調査検討委員会の委員について

 

 本年1月22日に「国際環境疫学会」より環境省と福島県に書簡が送付されています。その中で、がん発症のリスクが大きいと指摘する研究結果を挙げ、現状を「憂慮している」と述べています。そして、県民の健康状態を記録・追跡し、原発事故によるリスクをさらに解明する手段を取るよう国や県に要請し、専門家組織として調査活動を支援する意向も示しています。そこで、以下について質問させていただきます。

 

 

 

・質問1-1(福島県)

 

 上記書簡について、福島県は当該学会に回答しましたでしょうか、回答した際は回答書等を公開いただけませんでしょうか。また、未回答の際は、その理由を教えてください。

 

 

 

・質問1-2(福島県)

 

 上記書簡で、専門家組織として調査活動を支援する意向も示していることから、当該学会が推薦する専門家を県民健康調査検討委員会の委員に任命いただけませんでしょうか。なお、任命いただけない際は、その理由について教えてください。

 

 

 

 

 

 

 

□ 第2  県民健康調査甲状腺検査サポート事業について

 

・質問2-1(福島県)

 

 「県民健康調査甲状腺検査サポート事業」は、経済的負担を軽減する見地から極めて有効な施策であることは述べるまでもありません。しかし、現行の支援金受給申請手続きでは提出書類が多岐に渡るなど、対象者にとってかかる負担が大きいと感じているようです。そこで、負担軽減の見地から、自動償還払いの導入など、受給申請手続きの簡略化を図ることの可否について教えてください。

 

 

 

 

 

 

 

□ 第3  小児甲状腺がんの治療などについて

 

 手術を受けた患者やその家族にとっては”小児甲状腺がんの予後“は最大の関心事です。そのため、腫瘍の増殖速度、リンパ節転移や被膜外浸潤の有無、遠隔臓器への転移の状況は元より、一連の手術後の経過(再発などでの再手術の状況)を知ることは、予後を考える上で重要な判断指標となります。さらに、福島県は「県民健康調査甲状腺検査サポート事業」で、公的制度により診療情報を収集しています。

 

 そこで、患者およびその家族として小児甲状腺がんにしっかりと向き合うために、以下について質問させていただきます。

 

 

 

・質問3-1(福島県、福島県立医科大学)

 

 甲状腺検査で小児甲状腺がんと判明している患者から、これまで把握している以下の事項について、個人情報を保護した上で、可能な限り教えてください。

 

(1)超音波検査等で把握した甲状腺検査時並びに手術直前時の腫瘍直径の推移

 

(2)TNM分類によるTNM判定の結果

 

(3)実際の手術症例におけるリンパ節転移や被膜外浸潤の割合など

 

(4)実際の手術症例における再発例並びに再手術の状況

 

 

 

・質問3-2(福島県、福島県立医科大学)

 

 甲状腺検査で発見された小児甲状腺がんへの手術では、その大半で被膜外浸潤、所属リンパ節への転移などが確認され、積極的な治療を要するいわゆるハイリスクの状態であったと報告されています。

 

 他方、一部の専門家は、これら小児甲状腺がんは過剰診療やスクリーニング効果により発見されたものであるとし、県民健康調査検討委員会では“被ばくの影響は考えにくい”との見解を示しています。

 

 このように矛盾する見解が存在しますので、福島県で多数発見されている小児甲状腺がんについて、最も考えられる発生要因と、手術症例の妥当性について教えてください。

 

 

 

・質問3-3(福島県、福島県立医科大学)

 

 当事者同士が横につながり、しっかりと“がん”と向き合い、病気を受容して、治療に臨むことこそが最も大切と考えています。そこで、当事者団体である当会を広く周知する見地から、「甲状腺通信」などでの当会の紹介文の掲載、福島県立医科大学外来に当会のリーフレットの配置を要望させていただきますので、これらの可否について、ご回答くださいますよう、宜しくお願い申し上げます。