2016年9月14日
「9月14日の県民健康調査検討委員会についてのコメント」
9月14日に開催された県民健康調査検討委員会で、甲状腺検査について縮小の可能性もある見直しの議論が始まりました。私たちは、検査の縮小の動きについて、県にたびたび要望や質問をおこなってきました。しかし返答は頂けず、このような動きになったことは大変に残念です。以下の(1)~(3)のコメントを発表します。
(1)私たちは"甲状腺検査縮小"につながる見直しに反対します。
甲状腺検査が縮小された場合、福島で多発している甲状腺がんと被曝との因果関係を調べる疫学調査にマイナスの影響を与えます。 私たち患者が甲状腺がんとなったのは被曝の影響があったのかなかったのか、ということも分からなくなります。不安がより大きくなります。福島原発事故による被ばくと、小児甲状腺がん発症との因果関係については、検討委員会でも、未だ結論が得られていません。さらに、小児甲状腺がんについては、大人より進行が早いなど、病態が十分に解明されていません。 そのような状況では、可能な限り、当初の検査対象者への甲状腺検査を継続するのが当然であり、検査の一部縮小をも含めた今回の見直し検討は、検査の趣旨と 矛盾するものです。
(2)国、福島県は検査拡充、受診率を高める施策をとってください。
国、福島県は現実の患者の状況をしっかりと知ってください。 当会の会員の中には、手術待ちの期間中に、医師の想定以上に腫瘍が増大した子 ども、再発の疑いが拭えない子ども、そして、再発や転移を経験し、一生、治療 と向き合わざる得ない子どもがいます。つまり、現実に起きていることは、すべてが、決して放っておいてもいいような、いわゆる"潜在がん"ではありません。そのため、このような状況下で、甲状腺検査を縮小すれば、見過ごしや、病状がより深刻化することが予見されす。 そうなった場合、県や国は責任をとれるのでしょうか?
(3)当会の患者本人や、家族のコメント
●十代の患者本人
私は十代の学生です。約三年前に「甲状腺がん」と宣告され 覚悟の上手術を受けました。切ってしまえば予後の良い病ですからと軽く扱われ、結果リンパ節にまで転移していました。検査「縮小」 になるなんて考えられません。なぜリンパ節にまで進行したのか調べて教えてください。
●事故当時十代の患者の親
私は中通り在住の311甲状腺がん家族会の正会員です。この度の縮小の話し本当に聞いて呆れ返りました、まだ何一つ解決もしていないのに私達の子供たちはあなた方の研究材料ではないです。もう少し冷静になってこれが自分の子供だったらどうするか あてはめてよく考えて下さい。
●事故当時十代の患者の親
患者や家族は甲状線がんになり切除してしまえば終わりではなく、再発や転移の心配、両方切除すれば生涯薬を飲み続けなければならないことをとても不安に思っている。そんな中、検査・調査を縮小するなんてことはやめてください。まだ検査を受けていない小さな子ども達、成人、全員が抱える不安はいつまで続くのは不明です。原発問題もまだ解決していないところで将来、安心・安全・健全に生きていける環境や制度を考え続けて頂きたい。
●事故当時十代の患者の親
検査縮小の報道を目にして、腹立たしい気持ちで一杯です。うちの子供は、甲状腺を全摘し、リンパ節にも転移し、現在も治療中です。この先一生病気と共に生きていくのです。国は、検査縮小で、甲状腺ガンの発症率を少なくしようと考えてるのでしょうか?。むしろ拡大していかなければならないのに。うちの子供のように病気によって将来の夢が絶たれる(結婚も含めて)ような事があっては、なりません。
●事故当時十代の患者本人
チェルノブイリの原発事故におけるデータでは、甲状腺癌は事故から5年たった あたりから急激に増え始めている。そのようなデータがあるのにもかかわらず、 その節目である5年目になぜ検査の縮小を進めるのか。また原発事故によるデー タは世界でも乏しく、福島の原発事故は世界で二例目となる。データが重要にな っている今、このような検査縮小を進めることはかなり危険な行為であり、まずはしっかりとした体制で検査を行い、手術を控えている方や手術を終えた方など 状況に合わせたサポートを行う体制をしっかりと作ることが優先ではないかと思います。
以上